先輩からのエール

社会人学生(経験者)からのエール

先の章で社会人学生を目指す方は、とにかく大変!というお話をしました。そこで先輩社会人学生の方にインタビューを行い、これから目指すという方に役立てていただきたいと思います。

Q1 看護師を目指したきっかけは?
自分はビジネス感覚がないと思ったから。以前の会社でバリバリ仕事ができていたら、看護師にならなかったかも知れません。30歳を目前にして、果たしてこの職業で良いのか考え、直接人の役に立つ看護という仕事に魅力を感じました。

Q2 学生を志す前の職業を、差し支えのない範囲で教えてください
全農の物流部門の子会社で、主にトラックの配車業務を担当していました。大学卒業して、7年半勤めました。

Q3 看護学校の入試はどのようなものでしたか?
私の時は社会人入試というのがなく、一般学生と全く同じ条件でした。本屋で受験情報を集めました。2週間ほど、予備校にも通いましたが、それ以外は自宅で1人で受験勉強しました。

Q4 学生時代はお仕事やアルバイトをされていましたか?
夏休みにイベント関係のアルバイトを1ヶ月程、冬休みに年賀状の配達を行いました。

Q5 学生時代に社会人学生であることで苦労されたことはありますか?
同級生と話が合わないことです。ちょうど一回り(12歳)違いましたから、どう接してよいのかも分かりませんでした。あとは、同年代の人は皆働いているのに、自分は3年も社会から離れて、果たしてまた社会に戻っていけるのか、不安でした。

Q6 学生時代の嬉しかったこと・楽しかったことを教えてください。 
自分と違う世代の人と仲良くなれたこと。これは、本当に嬉しかったし、貴重な体験でした。こんなに年が離れているのに、夜アパートに集まって鍋を食べたり、夏休みにキャンプに行ったり、友達みたいにつき合えたのは、宝だと思います。

Q7 仕事上、社会人経由での経験を活かせたお話を教えてください。
勤務をしていて感じることは、特にありません。逆にもっと若いときから看護師になったほうが、看護の感性も養われるし技術も覚えが早いので、良いなあと思います。強いて言うなら、社会人から看護師を目指した体験談を話すと、皆興味を持って聞いてくれるようです。

Q8 社会人学生を目指している方に一言おねがいします!
私の場合は、会社勤めをしていた時の貯金があったから、金銭的にはそれほど困ることはありませんでした。学校も自宅から通えたし、親も協力的で、恵まれていました。授業の方は、講義はついていけないということはありませんでした。しかし実習はきつかったです。特に毎日のように書かされるレポートには苦しめられました。国試勉強は、同級生は少しの勉強でもぐんと成績が伸びます。私は伸び悩みました。社会人としてのプライドは大事ですが、一匹狼的な考えだと3年間はきついかもしれません。ある意味本当に学生に戻った気持ちで、協力し合って情報を交換したり、一緒に遊んだりといったのが良いのではと思います。私はサラリーマン時代には、末端の仕事になると、全体の仕事が見えず、一体自分は何やっているんだろうと不安に思うことがありました。でも看護師はそんな不安は少ないように感じます。またサラリーマンの時は、仕事は担当(部門)で割り当てられるため、仕事を抱え込んでしまうことがありました。しかし看護師は、同じ仕事内容を交代で行うため、抱え込むことは少ないようです。でも究極的には、サラリーマンの仕事も、看護の仕事も、同じです。これから目指そうとしている皆さん、どうか頑張ってください。

(40代・男性)


30代男性看護師からのエール

頑張れ!男子学生

 平成13年に行われた法改正により、「婦」「士」を改め「看護師」へ名称が統一されました。このことを受けて名称の上で男女の差はなくなり、男性看護師も増えてはきたものの、割合的にはいまだに女性が圧倒的に多い職場というのが現状です。今後はもっと増えてくれることが期待されるのですが、看護学校を志願することに抵抗を感じている男性も少なくないかもしれません。そこで看護師を目指す男性諸君にこれから頑張ってもらうべく、現在活躍中の男性看護師にインタビューを試みました。

Q1.看護師を志したきっかけは?
  高校時代に外来通院することがあって、その時に病院で白衣着て働くのもいいなと思ったのがきっかけです。当時はスーツを着て働きたくないと思っていたので。初めのうちは放射線技師、理学・作業療法士、救急救命士などを考えていましたが、一番進学しやすかったのが看護学校でした。

Q2.看護学校を志願することに抵抗はありましたか?
  看護の予備知識がほとんどなかったのであまり抵抗もありませんでした。高3の最後の時期で悩む暇もなかったのがホントのところですが。

Q3.ご自分の学生時代の男子生徒数はどのくらいの割合でしたか?
  自分たちの学年が2.6%、一つ上が0.6%、一つ下が3.3%。今思えば凄い割合ですね。初めのうちは居場所がなかったのも納得です。

Q4.学生時代に男性であることで苦労された経験はありますか?
  圧倒的な女性の数に慣れるまでは大変でした。何故自分はここにいるんだろう、と思っていた気がします。そのうちに相手してくれる女子学生もでてきて、それほど苦労してはいません。同性の友人が少ないのは寂しかったけれど、その分少ない男子生徒仲間と、学年関係なく濃い付き合いになっていました。
  
Q5.仕事上、男性であることによって苦労をされた経験はありますか?
  清潔や排泄など身辺介助で女性の患者さんに拒否されることです。そういう時は同僚にお願いしています。あと、自分がこの先60歳近くになって、現場で働く姿はイメージできません。管理職を目指していく男性が多いような気がします。簡単ではなさそうですが。

Q6.男性であることがかえって役に立った経験をお聞かせください。
  男性患者さんに重宝がられたり、覚えてもらえることはありがたいです。

Q7.今後看護師を目指す学生諸君にエールをお願いします。
 大学はそうでもありませんが、看護学校にゆったりしたキャンパスライフはありません。けっこうつらい思いをしていました。男性だから辛いという部分も確かにありますが、今思えば楽しかった思い出もたくさんです。それでも、看護師となった今はそれなりに楽しく働いていますし、余暇も楽しんでいます。看護師免許がとれれば、国家資格で就職に困ることはないし、働き出してからも、研究や教育職、更なる専門職への道も開けます。人と接するのが好きで、責任をもって仕事ができる人にとっては、良い職業だと思います。自分の選択した道を信じて頑張ってください。

(回答者:福岡県・総合病院勤務 30代男性看護師)